SCI ハテナ?を探る サイエンスの旅

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それは、恒常性の維持と破綻。
Redox Biologyで
ミトコンドリアに挑む

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ミトコンドリア呼吸鎖複合体のスーパーコンプレックス形成 / ミトコンドリアと活性酸素種 / パーキンソン病とミトコンドリア機能 / 加齢とミトコンドリア機能 / レドックスバイオロジー / 新規臨床検査方法の検討 / 筋萎縮性側索硬化症(ALS)と凝集体形成 / SOD1やα-synucleinの翻訳後修飾 / 末梢血や脳脊髄液の解析 / 恒常性の維持と破綻 /

基礎研究成果が難病の
治療や検査につながることをめざして

高等動植物は好気性生物であり、酸化還元(レドックス)反応を利用した代謝機能を備え、恒常性を維持していますが、レドックスバランスが破綻すると、さまざまな疾患の原因になることが報告されています。近年、ミトコンドリア呼吸鎖の複合体がスーパーコンプレックスを形成し、電子伝達効率をよくする機構が少しずつ解明されはじめています。電子伝達の際に漏れ出した電子は、酸素を1電子還元し、活性酸素種のスーパーオキシドを産生します。当研究室では、神経変性疾患である筋萎縮性側索硬化症(ALS)やパーキンソン病におけるミトコンドリア異常、病因タンパク質の構造異常、凝集体形成、酸化やリン酸化などの翻訳後修飾を、培養細胞や動物モデルを用いて解析しています。また、病院や医療センターとの共同研究により、末梢血だけでなく脳脊髄液についても解析し、新規臨床検査法への応用も視野に入れて研究する予定です。
生物学科内でも生態系の研究室と共同研究を行い、ヘビの成熟年齢や寿命について、ミトコンドリア機能やレドックス制御機構に着目し、生化学、分子生物学手法を用いて検討しています。

未知の分野を解明する、
研究の醍醐味が味わえる

研究室では、学生の自主性を重んじ、学生のライフスタイルや将来の目標に合わせた実験内容、研究計画となることを心がけ、限られた時間を有効に使って効率よく実験を進めるスタイルをめざしています。実験結果が出た後はもちろんのこと、実験前にも議論することにより、理解していない部分や実験の意義や方向性を明確にしています。卒業研究では、論文発表されていない、教科書にも載っていない、未知の分野を解明していくという、研究の醍醐味を味わってほしいと思います。やる気のある学生は、研究成果を学会や論文で発表できます。学会などで国内外の最先端の研究内容に触れることは、学生にとって良い刺激となると期待しています。卒業研究で学んだ知識や研究を、医療、食品、化粧品など、学生の希望する業種や研究領域で、卒業後も役立ててもらいたいと願っています。


松本 紋子准教授

神戸女学院大学家政学部食物学科卒業、京都府立大学大学院生活科学研究科修士課程修了、大阪大学大学院医学研究科博士課程修了、博士(医学)。日本学術振興会特別研究員、Department of Biochemistry,DukeUniversity Medical Center,Research Associate、大阪大学大学院医学研究科生化学助教、大阪大学微生物病研究所疾患糖鎖学助教、大阪大学産業科学研究所疾患糖鎖学助教などを経て、現職。

研究内容

● 生体内のレドックス制御、抗酸化酵素、活性酸素種、ミトコンドリア、神経変性疾患、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、凝集体形成、翻訳後修飾

卒業研究例

●ミトコンドリア呼吸鎖複合体のスーパーコンプレックス形成
●加齢や神経変性疾患(筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病)に伴うミトコンドリア機能変化
●筋萎縮性側索硬化症(ALS)におけるSOD1の翻訳後修飾や凝集体形成
●パーキンソン病におけるα-synucleinの翻訳後修飾や凝集体形成
●ストレス時におけるヒト血液中の酸化物質、抗酸化物質の変化
●島嶼集団における成熟年齢と寿命の種内変異:シマヘビのミトコンドリア機能やレドックスバランスの解析