SCI ハテナ?を探る サイエンスの旅

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スマホの進化を支える
材料開発の最前線。

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高分子材料がスマートフォンを変える / キーワードは“ポリイミド” / ディスプレイをもつ全ての電子機器に応用可能 / “柔らかくて燃えにくい”に挑む / 相反する特性を同時に実現 / 電子機器の小型化 / LEDのさらなる長寿命化 / 企業との共同研究開発プロジェクト / 実用化してこそ社会貢献 / 研究成果が世の中に出まわる喜び /

スマートフォンの進化は、
高分子材料の進化でもある

今日、スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器は革新的な進化を遂げています。そこに大きく貢献するのが基板と呼ばれる部材。私たちの研究と深く関わっていて、私たちの研究に関心が高い企業と共同研究開発を行っています。大きな研究テーマとして、ポリイミドという高分子材料の研究・開発があります。ポリイミドはスマートフォンや携帯電話、液晶テレビなど表示ディスプレイを持つ電子機器すべてに使われる材料です。例えば、電子機器を薄く小型化する際には、使用される材料の高性能・高機能化が必要になります。ポリイミドから作られる電子回路基板では、狭い機器内に折り曲げて収納するため、その形状を保持できる極めて高い柔軟性(高性能化)が求められます。ただ、柔らかくするほど逆に燃えやすくなるという問題が生まれるのです。スマートフォンや携帯電話は身につけるものなので、一定の難燃性(燃えにくさ)をクリアしなければ材料として採用されません。柔らかく燃えにくいという、相反する特性を実現させるアイディアが必要でした。最終的に思い通りの材料が開発できたことで、製品自体の作業工程の効率化にも貢献しました。別の事例では、LED照明に使われる材料の研究・開発があります。LED自体の寿命は長いのですが、まわりに使われる材料が劣化し色調が変わる問題を解決するために経年劣化しにくい材料を研究しています。すべてベースのポリイミドを改良することで、幅広い用途・製品に生かすことが可能となるのです。その際、相反する特性を同時に実現させるアイディアこそが、東邦大学オリジナル材料の開発につながっていくと思います。

自分の研究が、
世の中に出まわるという喜び

本研究室の長谷川教授の方針として、研究の最終目標は実用化(商業化)です。その意味で基礎から応用、そして実用化まで一貫した研究を行う特殊な研究室だと思います。企業との共同研究開発プロジェクトでは、学生もスタッフとしてプロジェクトに参加します。つまり自分のアイディアと研究が、世の中に出まわる可能性があるのです。もちろん、すぐに結果が出るわけではなく、多くは思うような結果が出ず研究もなかなか進みません。でも、地道に粘り強く取り組めば、難題を解決する斬新なアイディアが生まれることもあります。そしてその成功体験は、卒業後どんな苦境に立たされても乗り越えられるという自信につながっていくはずです。


石井 淳一准教授

東邦大学理学部化学科卒業、東邦大学大学院理学研究科化学専攻修士課程修了後、昭島化学工業株式会社に入社、2000年にソニーケミカル株式会社(現デクセリアルズ株式会社)に入社、2008年に東邦大学にて博士(理学)を取得し、2016年より現職。

研究内容

● 高分子材料物性制御の為の基礎研究
● 高性能・高機能性高分子材料の応用研究

卒業研究例

● 超低弾性率感光性ポリベンゾオキサゾール
● 熱・光安定性の優れた熱可塑性透明樹脂の開発
● 低弾性率ポリ( アミド酸- アゾメチン)およびポリ(イミド-アゾメチン)
● 電子回路(銅)表面への接着促進モノマーの合成とその応用
● 基板剥離性能の高い低熱膨張性ポリイミドの開発
● 透明性熱硬化型樹脂の開発
● 高リン含有モノマーの合成と樹脂の難燃化
● 高屈曲耐性フレキシブルプリント基板用塗布型カバー材の開発
● Phenylenvinylene骨格を有する樹脂開発
● フルオレン骨格を有する樹脂開発