SCI ハテナ?を探る サイエンスの旅

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地殻流体の
“動き”と“働き”を探る

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自然界の現象を探究 / 地殻流体が地震の発生に関係 / 断層の内部を観察 / 放射性廃棄物を地層で処分 / 大気中のC02を地中に埋めて削減 / 資源開発に活用できる可能性 / 地震国ニッポンを救う / 実験室で地下を再現

“地震”“CO2削減”“資源”の分野に
地下の水からアプローチ

地下の硬い岩石の隙間や地盤の中にも水は存在します。地下の水がどのように、どの程度の量が、どのような圧力で分布しているか、どのように移動するのかということは、岩石の壊れ方や断層のすべり方に影響します。本研究室では、岩石に与える力や水圧といった条件をコントロールして実施する室内実験などによって、この性質の解明に取り組んでいます。こういった研究は地震の発生メカニズムに関係します。将来的には、これらの研究の成果が、地下の水や水圧の分布と地震発生との関係性を解明することに結びつくかもしれません。また関連する別の事例として、CO2地中貯留が挙げられます。これは火力発電所などから出るCO2を地中に埋め、大気中のCO2を削減する試みです。簡単に言えば、CO2を圧縮(超臨界状態に)して砂岩の隙間に埋め、粒子の細かい岩(シール層)で蓋をするイメージです。もともと天然ガスや石油などが地中に長期間貯留されていることを考えれば、理論的には十分に実現可能と考えられており、世界的にも注目されています。ただ、どれだけの期間埋めていられるか、活断層が多い日本での安全性は十分か、など検証すべき点もたくさんあります。本研究室では房総半島での堆積層の調査や岩石実験で、シール層の特性を研究しています。その成果は、将来的にはCO2地中貯留のみならず、放射性廃棄物の地層処分や、石油や天然ガスがたまる場所を特定するなどして資源開発に活用できるかもしれません。私たちの研究自体は基礎的ですが、基礎を理解することがすべての土台になると考えています。

面白がる心を持って
取り組むことが大切

本研究室の特長は、室内実験と野外調査を両方できるところです。対象はあくまで自然であり、自然界での現象を実験室で完全に再現できるわけではありません。地下で実際に起きている現象は、実験室での現象とは時間も大きさもスケールが違うので、実際に野外に露出する地層を観てそのことを実感することが重要です。一方で地下深くの条件は実験室でなければ再現できないし、その状態をイメージすることも重要です。研究のほとんどは、すぐに答えや成果が出ないことばかり。でも一見つまらないように思えることも、面白がる心を持って取り組むことが大切です。実験も、小さな発見や工夫を積み重ねていく先に喜びが待っています。理学ならではの面白みを、ぜひ体感してほしいです。


上原 真一准教授

京都大学理学部卒業、京都大学大学院 理学研究科 地球惑星科学専攻修了、博士( 理学)、Heriot-Watt大学(スコットランド)PD研究員、京都大学大学院工学研究科 都市環境工学専攻 助教、産業技術総合研究所 特別研究員を経て現職。

研究内容

● 堆積岩およびその内部に発達した断層・割れ目の水理特性
● 断層の摩擦特性への間隙流体圧の影響
● 堆積岩の内部空隙構造とそのシール特性の関係

卒業研究例

● 上総層群シルト岩のスレショルド圧の評価
● シルト岩の透水係数および空隙率の圧力依存性
● 堆積岩中に発達する断層周辺の割れ目分布と流体移動
● 上総層群の小断層方位測定による古応力の推定
● シルト岩中の亀裂透水性の時間変化
● 間隙流体移動条件下での亀裂のせん断挙動